「おーい、蓮野、ちょっと」

見れば、ガタイのよい角刈りが、こちらを見て手招きしている。

同期の持田だ。

「相川、お前、さきに、持田の話聞いといて」

「え?……分かりました」


不可解そうな顔をしながら、通り過ぎていく相川の後ろ姿を眺めながら、千夏は、ちょうどスマホにかかってきた、電話の相手を見るなり、すぐにスワイプした。