花灯は、LOVEの登録情報をパソコン画面に映し出す。

花火を求めて登録をする客は、皆、ハンドルネームだ。

ハンドルネームは、『LOVE』。
性別、男。

『LOVE』とやりとりしていた時、花灯は引っかかった事がいくつかあった。まずは、事前のメールのやり取りで、花火を通常の倍、欲しいということ。

そして受け渡しの時だけ、客と接触するのだが、大半の客が、効果や、やり取りの消去などを聞いてくるのに対して、この『LOVE』という男と会った時、男はスマホの花火受け取り希望画面を提示したきり、一度も声を発しなかった。

ーーーーでは、LOVEと古林は同一人物か?

それは、違うだろう。

なぜなら古林は、死んだからだ。

恐らく、花火を受け取りに来たLOVEによって、ススキ花火で殺されたあと、煙草の不始末か何かに見せかけて、家に火をつけられたと考えるのが妥当だ。

ーーーじゃあ、あのLOVEという男は?

花灯は、パソコンを眺めながら、単語を口にしていく。

「LOVE、愛、性別は男……あと……」

あと男は、この真夏に長袖を着ていた。

(長袖か……)

これに関しては、理由は分かる。
自分自身も年から年中、長袖だ。他人に肌を見せたくないから。

見せられないからだ。

愛と言う名の暴力で、刻まれた身体への記憶は一生消えない傷跡となり、いつまで経っても疼き続ける。

ーーーー永遠に。