夕方のテレビのニュースから流れてくる古民家の火災の映像を眺めながら、花灯は、いつものようにお客様へとメールを送る
『欲の遂行、おめでとうございます』
テレビからは、『本日午後13時頃◯◯町の古民家で火災が発生しました。木造二階建ての家屋は全焼。焼け跡からは性別不明の遺体が発見されており、この家に住む、古林洋介さんの行方が分かっていないことから……』
花灯は、その名前に、聞き覚えがあった。
パソコンのデスクトップに保存している蛍の事件に関するファイルを開き、一枚の画像をクリックする。そこには、一重に短髪姿の古林洋介の写真が写っていた。
ーーーー古林洋介。
志田大樹の高校の先輩で、大樹のコカインの取引斡旋に関わっているかも知れないと、以前千夏が話していたのを思い出す。
そして、蛍が殺された日、志田大樹が最後に電話をかけたとされているのが、この古林だった。
千夏は、この古林が、蛍殺しに使った凶器を持っている筈だと事件後、暫くは古林を探っていた。
結局、古林を殺人幇助の疑いで逮捕状を取れるほどの決定的な証拠もなく、コカインの取引斡旋現場も押さえきれなかった事から、とりあえず泳がせたままになっていた。