「お片付け完了ね」

古林が、布団の上に吐き出した真っ赤な血液を眺めながら、愛瑠は、ふと、あの日を思い出していた。

「愛なんて、どこにもない」

愛は、脆くて儚くて、壊れやすい。

そして愛のカタチは、憎悪によって、すぐにそのカタチを変えていく。

愛瑠は、燃え尽きた花火をリュックに仕舞うと、手袋を、嵌めた手で、古林の咥えていた、タバコに再び火をつけた。ポトリと布団に落とせば、じんわりと煙が上がっていき、やがて洋介を包む炎となった。


「ばいばい」


ーーーー確か、あの時もそう告げたかも知れない。


腹部を真っ赤に染めながら、それでも尚、お腹を両手で抱きながら、必死にお腹の子を守ろうとする、蓮野蛍に。