このメールを、見たときは正直言って、半信半疑だった。

見てはいけないモノ、隠しておきたいモノが花火の中に見えるだなんて、馬鹿げてると思ってたから。
 
ーーーーまさか本当だったなんて。

効果がなかったら、蓮とただのドライブを楽しんで、また次の機会を伺えばいいと思ってただけに、こうもうまくいくなんて。

「蓮……ありがとう。さようなら」

おかしいと気づいたのは、中学に少しだけ付き合っていた先輩の様子と言葉だ。

先輩は、付き合ってすぐにストーカーがいるとか、誰かがいつも見ているとか、靴箱に脅迫状が入っているとか、訳のわからないことで怯えていた。

ある日、二人で楽器店を訪れた帰り道、先輩と別れるいつもの交差点で、梨紗は先輩の跡をつけたことがあった。

先輩は、商店街を抜けて、人通りの少ない脇道を抜けていく。帰ろうかと思った。元々、甘えたい気質の先輩が、自分の気を引きたいだけかと思っていたから。

駅へと続く階段を、降りていく先輩を、見ながら、引き返そうとした時だった。帰宅ラッシュでごった返した人の入り乱れた、改札前の階段で、先輩の後ろから階段を、降りる男に、目が止まった。

そして、一瞬だった。

先輩の背中を、押す左手が、見えたと思ったら、先輩は、あっという間に転がり落ちた。

左手には、勿論火傷の痕。誰だかすぐ分かっ
た。

ーーーーだって、隣にはいつも蓮が居たんだから。