花灯が、来未の立っている土間へと降りてくる。

そのまま、来未の体はキツく抱きしめられて、一瞬で来未の目の前には、タバコの匂いのする黒いシャツの小さな丸いボタンが見える。

「花灯……?」

どのくらいそうしてただろうか。

掠れた声で、花灯が呟いた。

「……蛍」

「……ほ、たる?」

その声に、花灯も泣いているのかと思った。

花灯は、私に身体を預けるようにしていて、表情は、わからない。

「蛍は……刺されて死んだ。犯人は行方不明。波多野と蛍は、大学の同級生だったから、調べてた。ただ、万が一、俺の顔を知っていたらいけないから、来未を使った」

「じゃあ……あの時の写真……」