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おまけSS

「リュカ、さま…、んっ」

 名を呼ばれたリュカは、たまらず唇を奪った。呼ばれた名前ごと、食べてしまいたいと馬鹿なことを思うほどに、たまらなかった。体の芯が喜びに震える。時折甘い声を漏らすナディアに、今にも理性が吹っ飛んで押し倒しそうになりながらも、壊れてしまいそうな細い肩をきつく抱いてなんとかやり過ごす。

 リュカは、コントロールできない自分に戸惑っていた。自分で思っている以上にナディアに心酔している自分が居た。ナディアが他の男を名前で呼ぶだけで苛立ち嫉妬して、自分の事も名前で呼んでくれと懇願して。

「覚えておいてください。あなたは、私だけのものだということを」

 仕舞いには、呪いの呪文のような言葉を吐いてしまった。自分が、コントロールできないのだ。守ってあげたいと思った存在を、この手で壊してしまいそうで怖かった。それでも、距離を取るなんて選択肢はない。いっそのこと誰の目にも触れぬように宝箱に閉じ込めて自分だけのものにしてしまおうか。冗談でも、そんなことを思う自分に自分で笑えて来る。

「今日は、おもてなしありがとうございました。嬉しかったです」
「わっ、私も、楽しかったです」

 別れ際、気持ちを伝えようと頑張ってくれる姿に心がほっこりとあたたかくなる。このまま家に連れて帰りたいといつも思う今日この頃なのは、ナディアには秘密にしておいた。


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