ジラール公爵家のローズの誕生日パーティでの一件のあと、リュカはあの2人の間になにがあったのかを調べさせていた。
 仮面を着け始めたのもそれがきっかけのようだ。もっと早く調べていれば、ナディアをあのパーティに連れて行かずに済んだのに。
 自分が浅はかなばかりにナディアを傷つけてしまったのが悔やんでも悔やみきれない。

「なるほどねぇ。それであの自己肯定感の低さなわけね」
「それよりライアン、今日あなたを呼んだ理由を忘れてはいませんよね?」
「え?なんのこと?」
「なっ、もしかして、聞かなかったのですか?!」
「もちろん聞いたよ~。でもむかつくから教えない!いーっだ!」
「ライアン!」

 ライアンに頼んだ自分が馬鹿だったとリュカは激しく後悔した。