「すごいお屋敷ですね」
「えぇ、ここは、ジラール公爵の邸宅です。今日は彼の長女であるローズ令嬢のバースデーパーティに招待されました」
「ローズ・ジラール公爵令嬢・・・」
「ご存じでしたか?そういえば、年の頃はあなたと同じくらいでしたね」
貴族の令嬢たちが通う女学校に通っていたナディアと同じクラスに彼女はいた。伯爵令嬢であるナディアよりも家格の高いローズは、なぜか何かとナディアに食ってかかってきたのを覚えている。顔の痣の事で汚いと邪険にされたり、他の友人たちにナディアに近づかないほうがいいというような事を言われた。居心地がわるくて女学校を休みがちになったのも彼女が原因と言っても過言ではなかった。
「はい、昔女学校で一緒だった事が」
「そうでしたか」
昔の嫌な記憶を鮮明に思い出してしまい、不安な気持に押しつぶされそうになりながらも、ナディアはなんとか歩を進めた。もう、昔のこと。自分のことなど彼女は覚えてすらいないかもしれない。
使用人に案内されて着いた広間は、すでに人で溢れてにぎわっていた。天井は吹き抜けで色とりどりの光りがステンドグラスを通して差し込んでいた。上質なシルクのテーブルクロスの敷かれたテーブルの上にはたくさんの料理や果物、デザートが所狭しと並べられている。集まった人たちは、数人のグループがいくつもできており思い思いに話に花を咲かせているようだった。
「ナディ、すみません、少し挨拶周りをしてこなくては。一人でも大丈夫ですか?」
「あ、はい。大丈夫です」
「出来るだけすぐ戻りますからね」
ナディアの手の甲にキスを落として、リュカは人込みの方へ消えていった。
それを見送って一人になったナディアは急に心細くなり、出来るだけ目立たないところはどこだろうか、と辺りを見回し、使用人が待機しているホールの片隅に移動した。
「えぇ、ここは、ジラール公爵の邸宅です。今日は彼の長女であるローズ令嬢のバースデーパーティに招待されました」
「ローズ・ジラール公爵令嬢・・・」
「ご存じでしたか?そういえば、年の頃はあなたと同じくらいでしたね」
貴族の令嬢たちが通う女学校に通っていたナディアと同じクラスに彼女はいた。伯爵令嬢であるナディアよりも家格の高いローズは、なぜか何かとナディアに食ってかかってきたのを覚えている。顔の痣の事で汚いと邪険にされたり、他の友人たちにナディアに近づかないほうがいいというような事を言われた。居心地がわるくて女学校を休みがちになったのも彼女が原因と言っても過言ではなかった。
「はい、昔女学校で一緒だった事が」
「そうでしたか」
昔の嫌な記憶を鮮明に思い出してしまい、不安な気持に押しつぶされそうになりながらも、ナディアはなんとか歩を進めた。もう、昔のこと。自分のことなど彼女は覚えてすらいないかもしれない。
使用人に案内されて着いた広間は、すでに人で溢れてにぎわっていた。天井は吹き抜けで色とりどりの光りがステンドグラスを通して差し込んでいた。上質なシルクのテーブルクロスの敷かれたテーブルの上にはたくさんの料理や果物、デザートが所狭しと並べられている。集まった人たちは、数人のグループがいくつもできており思い思いに話に花を咲かせているようだった。
「ナディ、すみません、少し挨拶周りをしてこなくては。一人でも大丈夫ですか?」
「あ、はい。大丈夫です」
「出来るだけすぐ戻りますからね」
ナディアの手の甲にキスを落として、リュカは人込みの方へ消えていった。
それを見送って一人になったナディアは急に心細くなり、出来るだけ目立たないところはどこだろうか、と辺りを見回し、使用人が待機しているホールの片隅に移動した。