その日、初めて聴いたあなたの声を
 目に焼き付けたあの一瞬の光景を、忘れないと誓った。
 あの青い一面の景色を思い出しては考える。
 もしこの世に永遠という言葉が似合うものがあるとするならば、それはきっとあなたの存在だと。

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 ざあざあと窓を叩く雨音が耳障りだった。
 ニュース番組のお天気コーナーは、今週は久々に晴れ間が見えると言っていたのに、灰色の空が埋め尽くし、どんよりとした空気で包まれる日々が続いている。
 今日もまた朝からぽつぽつと降り出した雨は、数分もしないうちに土砂降りに変わった。これ以上、天気の回復を期待しても無駄だろう。

 雨が降り始めた頃に目を覚ました私は、起き上がると同時に鈍痛に襲われ、また布団に潜り込んだ。頭を誰かが押しつけているような圧迫感に吐き気を覚え、咄嗟に手で口をおさえてなんとか飲み込む。

 薬と飲み物を置きに母が来てくれたのは、ドアを開ける音でわかった。包まっていた毛布から顔を出した私に気付くと、母は小さく笑って「良くなったら学校に行きなさいね」とだけ言って仕事にでかけていく。結局その声かけも虚しく、その日私が布団から出ることはなかった。

 学校に行きたくないわけじゃない。頭痛がひどいのは本当だし、動けないほど辛いのも事実だ。それは母もわかってくれている。それでも家から出させようと声をかけ続けるのは、私が引きこもりになって二週間が経過したからだ。
「今は無理しなくていい。でもずっとそのままでいたらダメよ」と、母が泣きながら私に懇願したのを、今でも覚えている。