文字どおり、未来を予知する一族だから。

 もっとも、顧客がそう信じているだけで、実態は少し違う。

 彼らは未来が視えるわけではない。できることは、この世ならざるもの、異形たちの声を聞くこと。

 異形たちの無数の目を通して過去を知り、未来を推測しているに過ぎない。

 それでも、東見の予言は必ず当たると評判で、家が傾きかねないほどの大金を積んで視てほしいとやってくる客は引もきらない。

 冷たい視線を投げてよこす雪為の前で、私は音もなく、すぅと青白い煙に姿を変えた。

 そう、私自身もこの世ならざるもののひとつ。

 もっとも、これが本体というわけでもないけれど。

 何者にもなれるけれど、何者でもない。

 それが、私。

 人間に姿を見せたいときは猫という生き物に擬態している。

 あぁ、誤解しないでよね。決して人間に愛でられたいからじゃない。

 自由気ままにゆうるりと生きる猫という存在に強いシンパシーを感じるの。犬はダメね。あの必死で懸命で健気な生き物は、私とはとても相容れない。