ちょうど今の雪為と初音のよう。

 宿命に引き込まれるように想いを通わせたものだった。

 甘い甘い幸福、永くは続かない。

 だからこそ強く、美しく、燃えあがる。

 あのふたりからも、〝終焉〟の匂いが立ち昇りはじめていた。

 私はペロリと舌なめずりをする。黄金色のふたつの目玉が、暗がりのなかでギラリと光った。

 ふたりが出会った日に感じた〝楽しげな予感〟が現実になる日が近づいている。その事実に私はワクワクしていた。

 愛らしい猫に扮していても、私の正体は異形。おぞましく穢れた存在だ。

 苦痛、絶望、憎悪、人間の吐き出すそういった感情は、私にとっての〝またたび〟なのだ。