だが、二十二歳という年齢よりずっと幼く見えるせいで、七歳年上の雪為とは夫婦というより兄妹のようだ。

「あれ? 今日は顔色がいいですね。前回は今にも倒れてしまいそうだったのに」

 悪びれもせずに彼は答える。

「今日は視ていないからな。お前の力も必要もない」
「そうなんですね。では――」

 いらないと言われたことを素直に受け止めた彼女は、あっさりとその身をひるがえそうとする。

 ふわりと揺れた朱色の袂を、雪為は思わずといった様子でつかんだ。

「なにか?」

 きょとんとした瞳が雪為を見返す。ややバツが悪そうに彼はぼやく。

「去れ、と言ったわけではない」

 パチパチと幾度が目を瞬いたあとで、彼女はふふっと笑みをこぼす。

 誰かと一緒にいたがるなど、雪為には珍しいことだ。それだけ、命姫は特別だということだろうか。いや、多分そうではない。