ビックリした。
 衝撃だった。
 祈莉はいつも笑っていた。
 でもその笑顔の裏にはこんなにも辛くて悲しい事実が隠されていた。
 それと同時に今、祈莉と話せている時間をもっと大切にしなければならないと思った。
 祈莉はもう、いつ死ぬか分からない。
 そんな大切な時間を僕は祈莉から貰っていることを初めて自覚した。
 もしかしたらもう、会えなくなるかもしれない。
 怖かった。
 昨日まであった命が急に無くなるという恐怖を感じていた。
 祈莉と祈莉の家族は8年間もその恐怖と戦っている。
 「話してくれてありがとうございます。祈莉から連絡が来ることを待っていますね」
 「うん。待っててあげて」
 3人にお辞儀をして帰路に立つ。
 祈莉の為に僕に何が出来る? 
 家に着いても寝る時も学校でも考えた。
 考えて
 考えて
 考えたけど答えは出ない。
 毎日、毎日祈莉からの連絡を待ちながら
 考えた。
 僕に出来ること。

 でも僕が答えを出すより先に
 祈莉の家族と話して2週間後

 「明日、会える? 」

 祈莉から連絡がきた。