「いいかい? 祈莉ちゃん。絶対に無理をしない事、具合が悪くなったらすぐに言う事、1人にならない事。絶対に守るんだよ? 」
 「はい! 絶対守ります」
 家族や先生、僕が車椅子を推奨したが祈莉は歩くと言って聞かなかった。だから嵐山先生から3つの約束を念押しされてる。
 祈莉に何かあったら僕の責任だ。
 そう心に刻む。
 院内は慣れたものでスルスル歩けたがいざ
 外に出た瞬間。祈莉の足が止まった。
 「大丈夫? 」
 「ドキドキとワクワクが止まらないね」
 振り返って先生と家族に行ってきますと言い、2人で歩き始めた。
 手を繋いで1歩1歩祈莉のペースに合わせる。
 どうしても僕の右側だけしか祈莉が歩くことが出来なかったから右側が車道の時は凄く怖かった。
 いつもの何倍も細心の注意を払って歩く祈莉は冬でも少し汗ばんでいた。
 「祈莉、バス停まであともう少しだ。頑張れ」
 「うん。頑張るね」
 緊張しているのか祈莉が握っている僕の右手にとても力が伝わっていた。
 「梨久君緊張してる? 」
 「え? なんで? 」
 「手が緊張してる感じがした」
 「緊張してるのはお互い様だったか」
 私もバレてたかと笑う。