ハッと目を覚ます。知ってる天井。
 自分の額を手で触るとかなり汗をかいていたのかびっしょりだった。
 天井を見つめて祈莉の言葉を思い出す。
 ''似たもの同士一生懸命生きようよ''
 「僕は生きてていいのかな」
 重い体を起こして祈莉に貰った写真集を開く。
 こないだ祈莉に説明してと言われた写真のページを開きおもむろに画用紙と絵の具を取り出す。
 写真を模写してみよう。
 「オレンジにも色んな種類があるんだな」
 塗っていくうちにオレンジ1つをとっても全然違う色合いなんだということに気がつく。
 夕焼けにも水色や薄紫など沢山の色が使われる。
 ちょうど空が塗り終わった時スマホが震えた。
 ▶これ、今回の結果『⠄⠙』
 祈莉から検査の結果と「悪い」の点字が送られてきた。
 病気は着実に祈莉の身体を蝕ん(むしば)で行っているようだった。
 クヨクヨしてられない。
 ▷「悪い」んだね。明日会いに行く。
 そう返信した。