「わたし、健吾くんと家族になれるかな……」
「なりたくないの?」
「なりたい、とは思ってる。今はまだ、気持ちの整理がつかないけど」
「だったら、大丈夫なんじゃない?」
「那央くん、いいこと言ったあとで、最後適当じゃん」

 上目遣いに睨んでズビッと鼻を啜ると、那央くんがハハッと笑って目を細める。真剣すぎない那央くんの緩い笑顔が、今のわたしには心地よかった。