「は、灰谷さんっ!」
すると、私を追ってきた男子生徒は、ぱぁと花が開いたかのような満面の笑みを浮かべる。
もしかしたら、私が心変わりして、話を聞いてくれると思っているのかもしれない。
だけど、私が立ち止まった理由は、全く逆のことを彼に伝えるためだった。
「織矢くん。何度も言ってるけど、私は興味ないの」
すると、彼……織矢文彦は、これでもかとばかりにショックを受けた顔で私を見る。
髪の毛は少しくせッ毛で、背は高いが猫背になっているせいで高身長の印象は受けない。
普段から運動とは縁がないのか、ここまで早歩きしただけで、肩が上下に揺れている。
「じゃ、私はこれで……」
そう言って、再び校舎の外へと向かおうとすると、