「恵麻ちゃんー、織矢くーん」 すると、あかりが照明係の人たちとの確認が終わったのか、こちらに手を振りながら合図を送ってくる。 「そろそろ、開演するみたいだよー。準備はいいー?」 どうやら、織矢くんと話をしている間に開演時間も迫っていたようだ。 私は、あかりに大丈夫だという合図を送り返した。 「じゃあ、行ってくるね」 私は織矢くんにそう言って、幕の下りた舞台へと一歩踏み出す。