私が『シンデレラ』という物語に向けている不満。

 それは「何故、魔法使いの魔女はシンデレラに12時には消えてしまう魔法なんてかけたのだろうか?」ということだった。

 そんなことをして、シンデレラは喜ぶと思ったのだろうか?

 いや、実際に舞踏会へ行ったシンデレラは、幸せだったのだろう。

 だけど、よく考えて欲しい。

 それがもし、一時的な幸せだったとしたら、どうだろうか?

 ガラスの靴も消えて、王子様も迎えに来なかったとしたら、シンデレラにとって「夢を叶えたその後」は、どうなっていたのだろうか?

 また、継母と義理の姉たちに虐められる辛い生活を送る毎日。

 そんな生活に、一度『本当の幸せ』を味わってしまったシンデレラは、果たして耐え続けることができただろうか。

 そんなことを想像してしまうと、私はシンデレラに魔法をかけた魔女のことを許せなくなってしまう。

 どうして、魔女はシンデレラに『永遠に夢を叶えられる魔法』をかけてあげなかったのか。

 もしかしたら、魔女もそこまでの魔法が使えなかったのかもしれない。

 でも、だったら中途半端な夢なんて与えるのは、自己満足でしかないじゃないか。


 だから、私は『シンデレラ』というお話が大嫌いなのだ。


 夢から覚めたあとの人間が、どんな末路を歩むのか、私自身がよく知っている。