「そっか……。もしかしたら僕が観た『シンデレラ』と灰谷さんが観た『シンデレラ』は同じ時期の公演だったりして」

「……かもしれないね」

 それは、可能性としては充分に考えられる推測だった。

 だけど、それを答え合わせしたところで、意味はない。

 織矢(おりや)くんも、別に正解を知りたかったわけじゃないようで、次なる質問をぶつけてくる。

「それで、灰谷(はいたに)さんは演劇を始めたんだ。高校の演劇部……だと、僕が知らないとおかしいから、中学生の頃やってたとか?」

「……ううん、正確には、小学生から」

「小学生?」

 織矢くんが首を傾げるのも、無理はない。

 普通、演劇をやっていたと言ったら、早くても部活動などがある中学生からだど思うのが普通だろう。

 だけど、私は違った。