「やっほー。恵麻ちゃん。一緒にかえろー」
そこには、ほんわかとした顔で手を振ってくるあかりの姿があった。
今日は校門前までいかず、ここで待ってくれていたようだ。
「あれー? 恵麻ちゃん、何かあったのー?」
「えっ?」
「だってー、なんだか寂しそうな顔してる気がするなー」
「……別に、そんな顔してない」
多分、あかりは久しぶりに織矢くんに追いかけられていない私を見てそんなことを言ったのだろうが、生憎とそんな冗談に乗ってあげるほど、私は人がいい訳ではない。
おそらく、下校中はあかりから色々と突っつかれるかもしれないけれど、全部流せばいいだけの話だ。
「……ん?」
しかし、自分の下駄箱を開いたところで、その中に何かが入っていることに気付く。
「……なんだろう、これ」
私は、二つ折りにされた紙を手に取る。
「わー、もしかしてラブレター? やっぱり、恵麻ちゃんってモテモテだー」
そんなことを言いだすあかりだったけど、勿論、私は生まれてこの方、ラブレターなんて貰ったことはない。
それに、これが本当にラブレターなら、封もせずに置いていくのは、ちょっと雑な感じがする。
だから、ラブレターというよりは、私にメモを残したと言われたほうがしっくりくる。
そして、正直に言えば、この時点で少し嫌な予感はしていた。
「ねえねえー、誰からのラブレター? なんて書いてあるのかなー?」
隣で、急かすようにそう言ってくるあかり。
それに触発された訳じゃないけれど、私はそのメモ用紙の中身を確認する。