童謡『シンデレラ』のお話はご存じだろうか?
なんて、こんな冒頭から殆どの人間が「はい」と答える質問に、意味はないのかもしれない。
だけど念のため、確認をさせて欲しい。
何故なら、今から私が語ろうとしていることは、『シンデレラ』に対する批判だからだ。
今風に言ってしまうのなら、クレームだと思って欲しい。
だから、初めに言ってしまおう。
私、灰谷恵麻は、『シンデレラ』というお話が大嫌いだ。
だけど、少しだけ誤解を解かせて貰うと、決して私はシンデレラ本人に対して文句があるわけではない。
むしろ、継母と義理の姉たちからの酷い仕打ちを受け続けても、決して腐ることなく、お城の舞踏会に行きたいという、ささやかな夢を抱き続けたシンデレラには、好感を超えて敬意すら払ってもいい。