願いというものは、たまには天に届くものだ。
次に目が覚めたとき、私は4月の始めにタイムスリップしていた。
なんてことは、もちろんない。
ちゃんと、6月7日とスマホにも朝のニュース番組にも表示されていた。
「奇跡なんて、起こるわけないかっ」
当たり前なのに、どうして期待なんかしたんだろう。
大きくため息をついて、制服のそでに腕を通す。髪の毛をセットして朝食を食べ、スマホの画面をなんとなく眺めていたときだった。
私は、異変に気がついた。
「なに、これ?」
スマホのホーム画面に表示されていたのは、見慣れないアプリのアイコン。
真ん中で割れたハートが描かれたシンプルなアイコンの下に、『SHOSHITSU』とアプリ名が書かれている。
「ショーシツ……?」
消失。
知っている漢字に当てはめるとそれしか思い浮かばない。
おかしい。不吉なタイトルのそのアプリをダウンロードした覚えがまったくないからだ。
反射的に、ばっと顔を上げて部屋を見回した。自分の部屋なのだから、誰もいるわけないのに、不気味な何かに見張られているように感じたのだ。
「……」
誰がこんなアプリ入れたの?
昨日の夜、寝ぼけて自分でダウンロードしたんだろうか。
それとも、親が? いやいや、そんなはずない。私のスマホの画面にはロックがかかっている。暗証番号を知っているのはもちろん私だけ。番号は誕生日なんかではないし、誰もこのスマホを開くことはできない。
「日和ーごはん食べなさい」
一階から母が私を呼ぶ声がして、「いま行く」と慌てて返事をする。母は毎日忙しくて、私がもたもたしているとすぐに怒って
「勝手にしなさい」と仕事に出かけてしまう。
私は机の上にスマホを置くと、できるだけ母の機嫌を損ねないようにダッシュでダイニングへと向い、朝食を食べる。
その間、あの不思議なアプリのことが頭から離れなかった。
次に目が覚めたとき、私は4月の始めにタイムスリップしていた。
なんてことは、もちろんない。
ちゃんと、6月7日とスマホにも朝のニュース番組にも表示されていた。
「奇跡なんて、起こるわけないかっ」
当たり前なのに、どうして期待なんかしたんだろう。
大きくため息をついて、制服のそでに腕を通す。髪の毛をセットして朝食を食べ、スマホの画面をなんとなく眺めていたときだった。
私は、異変に気がついた。
「なに、これ?」
スマホのホーム画面に表示されていたのは、見慣れないアプリのアイコン。
真ん中で割れたハートが描かれたシンプルなアイコンの下に、『SHOSHITSU』とアプリ名が書かれている。
「ショーシツ……?」
消失。
知っている漢字に当てはめるとそれしか思い浮かばない。
おかしい。不吉なタイトルのそのアプリをダウンロードした覚えがまったくないからだ。
反射的に、ばっと顔を上げて部屋を見回した。自分の部屋なのだから、誰もいるわけないのに、不気味な何かに見張られているように感じたのだ。
「……」
誰がこんなアプリ入れたの?
昨日の夜、寝ぼけて自分でダウンロードしたんだろうか。
それとも、親が? いやいや、そんなはずない。私のスマホの画面にはロックがかかっている。暗証番号を知っているのはもちろん私だけ。番号は誕生日なんかではないし、誰もこのスマホを開くことはできない。
「日和ーごはん食べなさい」
一階から母が私を呼ぶ声がして、「いま行く」と慌てて返事をする。母は毎日忙しくて、私がもたもたしているとすぐに怒って
「勝手にしなさい」と仕事に出かけてしまう。
私は机の上にスマホを置くと、できるだけ母の機嫌を損ねないようにダッシュでダイニングへと向い、朝食を食べる。
その間、あの不思議なアプリのことが頭から離れなかった。