『よろしくおねがいしまさ。。』
……わたしはこの時、ちゃんと文字打ちの練習をしようと決意した。
そして、スマホを買ったあとは、せっかくだからとみんなでお昼ごはんを食べて、駅の近くで展開されているショッピングモールで買い物をした。
憂ちゃんは嬉しそうに服をたくさん買っていたし、蓮さんはCDショップで色々なバンドの曲を試聴していた。
わたしも、憂ちゃんの服選びに付き合ってあげたり、蓮さんの隣で音楽を聞いた。
でも、憂ちゃんの選ぶ服は、女の子らしいヒラヒラした可愛らしいものが多くてとてもわたしが似合うようなものではなかったし、音楽は、相変わらず『俺たちが世界を変えるんだ』とか、普遍的なメッセージが込められたものばかりで、わたしの心には全く響かなかった。
ホント、自分の感情が死んでしまっていることを、改めて確認させられた気分だった。
そんなわたしを見て、由吉さんと久瑠実さんは、しつこいくらいに「何か欲しいものはないの?」と聞いてきたけど、そのたびに、わたしは「スマホを買ってもらえただけで十分です」と答えた。
それが、由吉さんたちには、わたしが謙遜していると思ったみたいで、深くは追及してこなかった。でも、最後に憂ちゃんが大好きだというクレープは、みんなの分を買って食べた。
わたしは2回目だったけれど、やっぱり、このクレープが美味しいのかどうかは、わからなかった。