そう考えた瞬間に、チラッと、蓮さんを見る。

 蓮さんは、端正な顔立ちを綻ばせながら微笑を浮かべていた。

 ――あの日、わたしを問いただした鋭い目つきなんて、想像できない笑みだった。

 だけど、油断はできない。おそらく、蓮さんにはもう、わたしの正体がばれてしまっていると考えたほうがいいだろう。

 別に、ばれてどうなるというわけじゃないけれど、それでも、自分を知られるというのはどうしようもない、ストレスだ。

「よし! それじゃ、ゲームはこの辺で終わり!」

 そういって、由吉さんが、ゲームの電源を切ってしまう。

 一瞬、自分が勝てないから腹いせとばかりにゲームを強制終了(言葉通り、電源を切るという、蛮行と非難される強制終了の方法だ)を行使したのかと思ったが、そういうわけではないらしい。

 もしや、あの誰も守らないであろう『ゲームは一時間したら、休憩を挟みましょう』という、メーカー側からの忠告を、由吉さんは律儀に守ったのだろうか?

 なんて考えていると、由吉さんは「愛美ちゃん!」と、わたしの名前を呼んだあと、こう告げた。


「みんなで買い物に行くよ!」


 ……買い物?