いったい、わたしは何をやっているのだろう……。
「くそー。お父さんだけまだ1回も勝ってないぞ!」
「つまり、父さんが敗因ってことじゃないですか?」
「そうだよー、パパが全部悪いッ!」
結構、辛辣なことをいう蓮さんと憂ちゃんだった。
そんなわけで、近江家では日曜日の朝からゲーム大会が開幕されていた。
わたしは、ゲームなんてするのは随分と久しぶりだったけれど、それでも、あまり複雑な操作を必要としなかったので、すぐに慣れた。
それに、蓮さんが的確な指示を出してくれるので、先ほどのテニスゲームの試合は一方的なノーサイドゲームだった。
というか、さっき蓮さんと憂ちゃんも言っていたけれど、蓮さんが勝因なのではなく由吉さんが敗因であることは誰が見ても明らかであった。
由吉さんはわたし以上にゲームに不慣れなのか、めちゃくちゃ下手なのである。
さすがのわたしも、怒っている憂ちゃんの味方をしてしまいそうな程だった。
「う~ん。本当のテニスなら負けない自信があるんだけどなー」
「……って言ってるけど、実際のところ、どうなの、ママ? たしかパパってあまり運動神経良くないよね?」
憂ちゃんがそう問いただすと、
「それは、憂ちゃんたちの想像にお任せね」
という久留実さんの答えが返ってきた。
うん、その返答でだいたいわかった。
「やっぱり、パパって運動ダメダメじゃん。よかった、あたそ、パパに似なくて」
「そんなこと言わないでっ! お父さん地味にショック!」
憂ちゃんからの追い打ちに、本気で凹んでいる様子の由吉さん。
全く、この家族は、休日でも、相変わらずだ。
つき合わされるわたしの身も考えてほしいものだ。