智子とは、途中まで一緒に帰路について、わたしは近江家へ向かう。
その間、智子は自分のことを淡々と話し続けていた。
それを、わたしは下手くそな相槌を打って答えているだけだった。
わたしからは、何も言わない。
それでも智子は、何故か楽しそうにしていて満足気だった。
そして、別れの道まできたところで、智子が名残惜しそうにわたしに告げる。
「また明日ね、愛美ちゃん」
遠慮気味に手を振りながら、わたしから離れていく智子。
わたしは、そんな去っていく智子の背中を見送ったあと、自分が向かうべき近江家まで歩く。
1人になった途端、外の景色が一段と暗くなってしまったように感じたのは、日が完全に沈んだからだろう。