ふむ。
これは、ひょっとしたら利用できるかもしれない。
丁度、昨日のたった1日だけで愛想を振りまくことに、くたびれていたところだ。
それならば、こうしてわたしの正体を知ってしまった彼女と行動したほうが、得策なのではないか?
「……フリでいいんだよね? 本当の、友達じゃなくて?」
「うっ、うん!」
わたしの返答をきいて、嬉しそうにする倉敷さん。
仕方がない。
現状では、彼女の口車に乗せられたほうが賢明だと判断した。
「……わかった。その代わり、さっきも自分で言ってたけど、お互いのことは詮索しないし干渉もしない。ただ、周りに仲良く見られるように振舞うだけ……これでいいの?」
契約内容を口上で説明すると、倉敷さんは真剣な表情になって、コクンッと頷いた。
「じゃ、なってあげるよ。都合のいい友達ってやつにね」
――こうして、わたしに、仮初めの友達ができたのだった。