「愛美ちゃーん! 朝だよー!」
痛い頭を押さえながら身体を起こすと、無精ひげを生やしたままの中年の男性が爽やかな笑みでこちらを見ていた。
ああ、はいはい。このパターンね。
「……おはようございます、由吉さん」
さすがに2回目だったので、免疫がわたしの中で付いてしまったのかスムーズな対応をすることができた。
なるほど、これが人間の進歩ってやつか。
「うん、おはよう!」
わたしなんかより数倍元気な声で挨拶を返してくれる由吉さん。
どっちが子供かわかったものではない。
「いやー、昨日は相当疲れているように見えたからね。どう? 体調は大丈夫?」
その言葉で、わたしは実感する。
ああ、由吉さんなりにわたしを気遣ってくれているんだ。
どうやら昨日のわたしは、相当ナイーブになってしまっていたらしい。
これだけ能天気な由吉さんにすら気を使われてしまうのだ。
憂ちゃんはともかく、蓮さんや久留実さんには余計な心配をかけてしまっているかもしれない。
これは反省しなくては。