――誰かが、店員に報告をしない限りは。

「一体、なにが言いたいの?」

 しかし、そんな態度が店員さんには気に喰わなかったようで、わたし以上に邪険な態度をとった。

「いや、もしかしたら、別の可能性もあるんじゃないかなーって、思っただけです」

「愛美お姉ちゃん、別の可能性ってなに?」

 タイミング良く、わたしにそう尋ねてくる憂ちゃん。

 憂ちゃんのアシストを受けて、わたしは店員さんに告げる。

「もしかしたら、この子の鞄に、他の人がいたずらでこのお店の商品を鞄に入れたってことも考えられませんかね?」

 わたしがそう言うと、店員さんは目を大きく見開いた。


 そう、こんなの、子供の遊びだ。

 わたしが以前通っていた中学校でも、そんな馬鹿な遊びをして楽しんでいた奴らがいた。

 他人に罪をなすりつけて、それを喜んでいるようなやつら。

 わたしはそんな奴らが、自分の家族の次に嫌いだった。

 だから、そんな奴らが近くにいれば、すぐにわかってしまうのだ。


「それで、店員さんに捕まって、無実の子が慌てふためくのを面白がって見ているんじゃないですかね? ねぇ、そうでしょ? さっきからそこでジロジロ見ている、誰かさんたち」

 わたしは、店の入り口付近にいた三人のグループに目をやった。

 わたしたちと同じ、中学生くらいの子たちだ。

 全員女性で、わたしや憂ちゃんとは違う制服を着ていたから、別の学校の人たちなのだろう。

 そして、そいつらは、わたしが視線を向けたと同時に、ぎょっとしたように固まってしまったのだが、誰かが「ヤバいわよ!」と口にすると、それが合図だったかのように、全員が一斉に、店から出て行ってしまった。