GWが終わりを迎えた5月半ば。

 電車に揺られること約2時間、わたしは目的の駅へと到着していた。

 都会から離れたこの街は、駅が街の中心部となっているからなのか、それなりの人の密集度でごった返していた。


 ――今日からわたしは、この街で暮らすのか。


 そう思うと、ロケーションでも行っておこうかと思う気持ちもあるのだけれど、迷子になってこの場所に戻ってこれなくなっても仕方がない。

 それに、これから迎えに来てくれる人に、いきなり迷惑をかけてもいけないだろう。

 珍しく……本当に珍しく、わたしが他人を慮る行動を取っているというのに……。