おいおい、まさか……。
わたしの動揺なんて全く気付いていないであろう憂ちゃんは、果たして、その女子生徒に声をかけた。
「あの、どうかしたんですか?」
「えっ!?」
いきなり後ろから話しかけられたからなのか、その女子生徒が、驚いて振り返った。
「いや……その……」
女子生徒は、蒼白な顔をしていた。
ショートカットのヘアピンを付けた髪型で、気弱そうな顔立ちが、今の状況でより一層際立っていた。
「ん? あれって……」
ただ、わたしは、その顔に少し見覚えがあった。
そうだ、この子。多分、わたしと同じクラスの子だ。
わたしが他のクラスメイトたちから質問攻めにあっているときも、窓際の席で、ずっと本を読んでいたような気がする。
いわゆる、クラスでも目立たないという感じの、そんな女の子。
ただ、その女の子は現在、酷く動揺していて憂ちゃんの質問にも答えられない状態だった。
代わりに眉間に皺を寄せた女の店員さんが、憂ちゃんに事情を話してくれた。