繁華街にやって来たわたしたちは、プリクラ専門店に入って、写真を撮影した。

 しかし、プリクラ専門店なる店があるなんて驚きだ。

 わたしの以前住んでいた街にも、こんなものがあったのだろうか?

 プリクラなんて全く興味のなかったわたしが、知るはずもない話なのだけれど。

 そして、気付いた時には、あっという間に撮影会は終了していた。

 初心者のわたしは、とにかく呆然と憂ちゃんの指示に従うだけで、ただその場にずっと立ち尽くしていただけだった。

 言われるがままに、ピースサインなんていう屈辱的なポーズまでしてしまったけど、それは不可抗力ということで仕方がなかったんだと自分に言い聞かせて納得させた。

「わぁー、可愛く撮れたね! 愛美お姉ちゃん!」

 嬉しそうにする憂ちゃんとは裏腹に、わたしは疲労感で倒れ込んでしまいそうだった。

 この子の相手は、正直肉体的にも、精神的にもキツイ。

 幸いなのは、本人である憂ちゃんが楽しそうにしていることぐらいか。

 実際、憂ちゃんはプリクラの出来栄えが相当気に入ったらしく、早速、自分の手帳のようなものにペタペタと貼り付けていた。

「ねぇねぇ、次は2人で衣装も借りて撮影しようよ。このお店、可愛い洋服をレンタルして撮影もできるんだよ~」

 マジか。絶対にやりたくない。

 瞬時にそう思ったわたしだったけど、ウキウキな憂ちゃんの心に傷をつけるのも嫌だったので、適当な言い訳を取り繕うことにした。

「う~ん。そっか……」

 わたしの返事を聞いて、残念そうにする憂ちゃんだったが、すぐに別のアイディアを提示してきた。

「じゃ、せっかくだから今日はいっぱい遊んで帰ろうよ! ここらへんはあたしの縄張りだから、色々紹介してあげるよ!」

 そう言って、プリクラ専門店を後にしたわたしに待っていたのは、憂ちゃんによる街ぶらロケだった。