「はい、由吉(ゆきち)さん?」

『もしもし、愛美(まなみ)ちゃん! 今どこ!』

 慌てた様子の由吉さん。

 もしかして、久瑠実(くるみ)さんや(れん)さん、もしくは憂ちゃんの誰かに何かあったのだろうかと思ったが、それはすぐに杞憂に終わった。

「えっと、もう帰るところですけど……」

『なんだ……良かった。愛美ちゃんの帰りが遅いから、みんな心配してたんだよ』

 と、いうことらしい。どうやら、心配されていたのは、わたし自身のようだ。

 いやいや子供じゃないんだから……と、呆れたいところだったが、前回のこともあるわけで、遅くなる連絡をしなかったわたしに非があるのは明らかだった。

 それに、彼らにとってはわたしはまだまだ子供なのだろう。

 まぁ、由吉さんの心配性が過剰であるという点は、このさいオマケで差し引いておこう。