「愛美ちゃん……」

 わたしが、真っ赤になっているであろう顔を隠していたところで、智子がベッドから起き上がって、わたしを抱きしめた。

「愛美ちゃん、こっちこそ、わたしと友達になってくれて、ありがとう。あのとき、わたしを助けてくれて、ありがとう」

 ……えっ?

「智子、あんたもしかして……」

 しかし、わたしが質問をする前に、智子は人差し指を立てて、唇に押し当ててきた。

 呆然とするわたしに、智子はただ、笑顔で見つめてくるだけだった。

「あっ、そうだ。愛美ちゃんが来たら、渡そうと思ってたんだ」

 話題をそらすように、智子がそう言って、花瓶がある棚に置いてあった小さな袋を渡してきた。

「これ、愛美ちゃんにプレゼント」

 わたしはそれを、戸惑いながら受け取る。

 中を見ていると、可愛らしくラッピングされた小さな箱が入っていた。

「お母さんが何か欲しいものはない? って言ってくれたから、買ってきてもらったんだ」

 開けてみて、と、智子が呟く。

 わたしはその指示に従って、丁寧にラッピングを取って、箱の中身を確認する。

「これを……わたしに?」

「うん、愛美ちゃんに似合うかなーって思ってさ」

 智子がわたしに渡してきたものは、可愛らしい、いちごの形の留め具がついたヘアピンだった。