「智子」

「なに? 愛美ちゃん?」

 屈託のない笑顔を向けてくる智子に対して、わたしはか細い声で、告げた。


「……ありがとう」


 必死で言った台詞だったけど、智子はじっとわたしのことを見るだけで、口を挟まなかった。

 わたしは、勢いに任せて伝える。


「こんなわたしと、友達になってくれてありがとう……」


 恥ずかしくて、顔から火が出そうだった。数年間、ひねくれた性格で育ったわたしにとっては、こんな純粋な気持ちを口に出すのは、恥ずかしくて恥ずかしくて、その場から逃げ出したい気持ちになる。

 ああもうっ! こんなこと、やっぱり言うんじゃなかった!