『愛美ちゃんに、会いたい』
目が覚めた智子が、最初に発した言葉らしい。
それを聞いた智子の両親は、悩んだ末に、わたしとの面談を許可してくれた。
でも、わたし自身は正直、智子に会うのが、怖かった。
恨まれているんじゃないか。
怖がられるんじゃないか。
そんな思いが、わたしの中で駆け巡った。
だけど、そんな風に怯えるわたしの背中を押してくれたのが、近江家の人たちだった。
きっと大丈夫だから、と。
後悔しないように、自分に正直になりなさい、と由吉さんたちから言われてしまった。
そして、あの事件が遭ったあと、わたしは初めて智子と再会した。
智子は、病室にやって来たわたしを見て、今日みたいに、とても嬉しそうに、笑ってくれたのだ。
『愛美ちゃん』と、わたしの名前を呼んでくれた。
それが、わたしは嬉しくてうれしくて、目がおかしくなったんじゃないかと思うくらい熱くなってしまったんだけど、この子の前では、そんな情けない姿を見せたくなくて、いつものように愛想のない態度をとってその日は過ごした。