家族。 わたしの嫌いな、家族。 「だから、苦しいときは、僕たちに頼ってほしいんだ」 そのはずなのに、由吉さんの言葉を聞いた瞬間、わたしの瞳から、涙が溢れてきてしまって、ついには握っていた包丁を、放してしまう。 コトンッと、包丁が落ちる。 刃の部分が真っ赤に染まっていて、まだポタポタと、由吉さんの手からは血が流れ出ていた。 わたしは、崩れ落ちるように膝をついて、呟いた。