「君のせいで、他人が不幸になるなんてことはない。僕はね、愛美ちゃんがこの家に来てくれて、本当に嬉しかったし、毎日楽しかった。久瑠実さんも、蓮も、憂も、きっと僕と一緒の気持ちだと思う」
わたしは、由吉さんの後ろにいる3人を見つめる。
みんな、わたしを心配そうに、見つめていた。
誰一人、わたしに嫌悪感なんて抱いていなくて、本気でわたしを止めようとしてくれている。
わたしを、受け入れようとしてくれる。
「なん……で。なんであなたたちは、こんなに優しいんですか?」
わたしの口からしぼり出た声は、そんな問いかけだった。
わたしなんて、優しくされる価値もない、最低な人間のはずなのに。
ここにいたら……この家族に混ざってしまったら、自分も、普通の人間なんじゃないかって、勘違いしそうになるくらいだ。
それが、わたしにとっては、苦しくて、辛かった。
「それは、僕たちが君のことを家族だと思っているからさ」