だからわたしは、『家族』が嫌いになった。
自分のことが、大っ嫌いになった。
わたしなんて生まれてこなければ、お父さんもお母さんも、幸せになれたのに。
もうこれ以上、壊れていくお父さんもお母さんも、見たくない。
だからわたしは、逃げるように近江家にやって来た。
近江家の人たちは、ほとんど赤の他人であるはずのわたしを受け入れようとしてくれた。
わたしが失ってしまった『家族』の姿がそこにはあって、わたしまでもその『家族』の仲間入りをしたような、そんな勘違いをしてしまいそうだった。
わたしでも、幸せになれるんじゃないかって、何度も思ってしまった。
だけど、やっぱりわたしに、そんな幸せは訪れない。
お父さんとお母さんの関係を、人生を無茶苦茶にしたわたしが、これから楽しく人生を過ごすなんて、許されるはずがなったのだ。
それを証明するように、智子はわたしのせいで、あんな目に遭ってしまった。
わたしなんかと、関わってしまったせいで……。
きっと、近江家の人たちともこれ以上関わってしまったら、今度はこの家族を、わたしが崩壊させてしまうかもしれない。
そうなる前に、自分自身で、決着をつけなければならない。
「だから、終わらせるんだ! わたしがっ、わたしがあいつらを殺して! わたしも一緒に死ねばいいんだ! そうしたら、全部が終わるんだ!」
わたしに居場所なんてないことが、十分にわかった。
もう、生きている意味も、わからなくなってきた。
だからせめて最後に、やっておかなければならないことをして、死んでしまおう。
もっと早く、そうすればよかったんだ。