それが、どういう意味なのかわかったときには、すでに事態は終わっていた。

 お母さんも、お父さんも、そしてわたしの人生も、終わってしまった。

 それまでは、ごく普通の、一般的な家族だったと思う。

 休みの日には家族みんなでピクニックに行って、買い物をして、授業参観には二人とも出席してくれて、わたしの誕生日には、ケーキを囲んで祝ってくれる、そんな家族だった。

 だけど小学校4年生になったくらいの年に、お父さんが、わたしに「お掃除だから」と言って、綿棒を口の中に入れてきたときがあった。

「掃除」だなんて、どうしてお父さんはそんな変な嘘を吐くのだろうと疑問に思ったけれど、口には出さず、数時間後にはそんなことはきれいさっぱり忘れてしまっていた。

 それがDNA鑑定に必要な手続きだと知ったのは、少し後になってからのことだ。

 結果は、先ほど伝えた通りだ。


 わたしとお父さんは、99・9%の確率で、親子関係ではないと判断された。


 その結果を、お父さんは目に涙をためてお母さんに伝えていた。

 それから、『家族』は崩壊した。

 今さら、血の繋がっていない子供を、お父さんは愛せなかったのだろう。

 お母さんも、わたしを悪魔の子供であるかのような目つきで、睨むことが多くなった。

 大人の事情だから、どうして2人が別れないのかなんて、わたしは知りたくもないけれど、お父さんとお母さんがわたしを嫌いになったのは、痛いくらいにわかってしまった。