「うるさい!」
小さい頃に、わたしに対して言われた言葉が、頭の中で何度も再生される。
それに抗うように、頭を抱える。
その場に倒れそうになるのを何とか堪えて、由吉さんを睨む。
そして、自分の中にある怒りを、彼らにぶつけるように、叫んだ。
「もうわたしのことなんて、ほっといてよ!」
一度吐きだしてしまった感情は、もうわたしの意思とは関係なく、次々に外へと露出する。
わたしの汚い部分が、醜い部分が、全てあらわになる。
だけどもう、どうでもいいんだ。
もうわたしは、この人たちにどう思われようが、知ったことではない。
「わたしはこういう人間なんだってどうして分からないのっ! 優しくされる資格なんてない人間なんだよ! 生まれてこないほうがいい人間だったんだっ!」
もう滅茶苦茶で、支離滅裂だってことすら、このときのわたしは判断できていなかった。
今までの人生で、わたしが思っていたことを口に出すしか、自分の意識を保っている方法が見つからなかった。
「わたしがっ、わたしが生まれたせいで、お父さんもお母さんもおかしくなっちゃったんだ! わたしがっ、わたしが生まれたせいでっ!」
どうして、こんなことを今、この人たちに伝えるのだろう?
わからない。わからないけれど、止められなかった。
「わたしは……わたしは……お父さんの子供じゃなかった……。わたしは、本当の『家族』じゃなかったんだよっ!」