「ちょっと今から、人を殺しに行ってきます」


 包丁の柄を、強く握りしめながら、宣言する。

 そうだ、わたしは今から、人を殺そうとしている。

 そのために、わたしは学校に行く。もしかしたら、霧島たちは学校には来ていないかもしれない。それならば、街中を捜し回っても、あいつらを見つける。

 おまわりさんに先を越されて、逮捕される前にわたしがあいつらに罰を与えてやるんだ。

 法律なんて生ぬるい、形だけの刑罰なんて許せない。

 今のわたしなら、人間の1人や2人、簡単に殺せる気がする。

 あいつらの身体を、これでもかというくらい、刺して、切り刻んで、原型がなくなるくらい、バラバラにしてやるつもりだった。

 それで智子が報われるなんて、そんなことは思わない。

 復讐なんて言葉も、絶対に言わないつもりだけど、今のわたしにできることは、せいぜいこれくらいだと思った。

 ちょっと早い登校なのは、待ち伏せするくらいがいいと思ったからだ。

 きっとあいつらは、わたしの姿を見て、嘲笑い、優越感に浸るだろう。

 昨日のことがあったから、伊丹(いたみ)はわたしに関わりたくないと思っているかもしれないが、そうはいかない。

 主犯が霧島だったとしても、あいつも智子を馬鹿にして、笑ったんだ。

 だからあいつらは、わたしの手で殺すのだ。

 わたしに関わったことを後悔させながら、殺してやる。