布団の中に入っても、全然眠気なんて襲ってこなくて、むしろ、脳内から頭がおかしくなる成分が分泌されているかのような、そんな感覚を味わった。

 気が付けば、朝日がカーテンの隙間から差し込んできた。

 今は何時だろうとスマホで確認しようとしたところで、自分で壊してしまったことを思い出す。

 そういえば、そのことに関しても、由吉さんたちに伝えていなかった。

 いや、今はもう、そんなことはどうでもいいのか……。

 きっとわたしは、今から自分がやろうとしていることで、とんでもない迷惑をかけてしまうのだから。


 許してほしい、なんて思わない。

 むしろ、恨んでほしいとさえ思っている。

 こんな奴、居候させるべきじゃなかったと、わたしを罵ってほしい。


 わたしは、そっと扉を開けて、誰もいないことを確認する。

 こんな早朝だ。誰かが起きているとは思っていなかったけれど、それでも用心するに越したことはない。

 階段をゆっくりと降りて、リビングへと続く扉を開ける。そこにも、誰の姿もなかった。