いいよ、智子。

 今はゆっくり休んで。

 あとは、ちゃんとわたしで終わらせるから。


 遠くのほうで、けたたましいサイレンの音が聞こえてくる。

 同時に、何人もの人の足音が、わたしに近づいてきているような気がするけれど、そんなことは、もうどうでもよかった。

 わたしはただただ、ぐったりとする智子の身体を、ぎゅっと抱きしめるだけだった。