「あは、あははは、あははははは!」
誰かの笑い声が、後ろから聞こえてきた。
わたしは、ゆっくりと振り返る。
そこには、スマホのカメラを掲げた伊丹の姿があった。
「あ~、いい動画が撮れたよ。あんたがそんなに焦ってる姿を見るなんて最高~」
――わたしはただ、黙って伊丹のほうに視線を向ける。
「いやぁ、さっきの店員、どっか行っちゃったけどいい声出してくれたわ。それであんたが駆けつけてくることになったし、これ、永久保存版でしょ?」
あはは、ともう一度笑う伊丹の姿を、わたしはただ、その場に立ち尽くしているだけだった。
「どう? オトモダチがひどいことされちゃった気分は~? でも、その子が悪いんだから? あんたにやったこと、全部学校に言ってやるからって聞かなくてさ。だ~か~ら、ちょっと痛い目に見てもらったってわけ?」
わたしの身体が、燃えるように熱くなっていく。