「……捜さなきゃ」

 お腹の痛みがなくなって、頭の中の声も聴こえなくなって、わたしはやっと身体を自由に動かすことができた。

 そして、やるべきことも、ちゃんとわかっている。

「あの子を、止めなきゃ」

 智子は、『自分がなんとかする』と言った。わたしが置かれている状況を、たった1人で解決しようとしてくれている。

 だとしたら、本当に急がなくてはならない。あの子は、どこか後先を考えないところがあるというか、思い込みが強い子でもある。

 白と黒をはっきりと分けないと、気が済まない性格。

 そしてこの場合、『白』がわたしと仮定すれば、『黒』は誰なのか、おのずと答えが導き出される。

 きっと智子(ともこ)は、霧島(きりしま)たちを追いかけているはずだ。

 変な気を起こさなければいいが……。

 少し前に智子のアドレスにメッセージを送ったが、智子からの返事はない。

 電話も試してみたけど、反応なし。

 これだから携帯機器は嫌いなんだ。大事なときに、連絡が取れない。

 わたしは、乱暴にスマホをポケットにしまって、走り出した。

 自分の足で捜すしかない。