しかし、智子は、首をブンブンと横に振った。

「いやだ……」

 か細い声で、智子は訴える。

「嫌だよッ! こんな風に……こんなことで愛美ちゃんと別れなきゃいけないなんて絶対に嫌なのッ……」

 智子は、もはや動揺を隠そうとはせず、ボロボロと涙を流しながら、わたしに訴えかける。

「私は愛美ちゃんに助けてもらったのに、何も愛美ちゃんの為にしていない! これじゃあ私が、本当に迷惑かけちゃっただけじゃない……」

 智子は、馬鹿なわたしを必死で説得するように、声を張り上げて訴えかけてくれた。


 そうだ。この子は、こういう子だ。

 全て自分の責任だと思って、抱え込む。


 ああ、やっとわかった。

 智子は、わたしのことを自分と重ねて見ていたと言っていた。

 でも、それはわたしも同じだったんだ。

 わたしも智子も、自分は幸せになれないと勝手に思い込んで、これからの人生も、諦めてしまっている。


 だけどね、智子。

 わたしとあんたとは、決定的に違うところがあるんだよ。