近江家から、智子が指定してきた公園は、結構な距離がある。
歩けば30分以上かかるし、普通に考えれば、もうすぐ暗くなるこの時間帯から出かけるのはかなり面倒くさい。
それにわたしは、智子とはもう何の関係もない、赤の他人なのだ。
だけど、わたしは行かなくてはいけない。
もう一度、あの子との関係を断ち切るために。
それに、理由をつけて家から出ていく言い訳もできた。
憂ちゃんあたりには、色々と詮索されてしまいそうなので、黙って出てきたけれど言い訳は帰ってきたときにでも適当に取り繕おう。
最悪、晩御飯もまた体調が悪いという理由で、久留実さんに別に用意してもらうことも考えておいたほうがいいかもしれない。
蓮さんと、どんな顔をして、会えばいいのか、今のわたしには全くわからなくて、それは蓮さんも一緒だと思うから。
あんなことがあった手前、冷静に顔を合わせながら食事なんて、とてもできそうになかった。
そして、わたしは智子の待つ公園へと一歩ずつ、確実に向かって行く。